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特集 頸部脊椎症
頸部脊椎症と頸部後縦靱帯骨化症―頸椎症性脊髄症の臨床診断と鑑別診断を中心に
Cervical Spondylosis and Ossification of the Cervical Posterior Longitudinal Ligament.
城戸 研二
1
,
河合 伸也
1
Kenji Kido
1
,
Shinya Kawai
1
1山口大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Yamaguchi University School of Medicine.
キーワード:
頸部脊椎症
,
頸椎症性脊髄症
,
頸部後縦靱帯骨化症
Keyword:
頸部脊椎症
,
頸椎症性脊髄症
,
頸部後縦靱帯骨化症
pp.169-175
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106017
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はじめに
頸椎症と頸部後縦靱帯骨化症(OPLL)とはentityの違う疾患として認識されているが,実際の臨床面においては,神経症状は類似しており,中年以降に発症して両者が合併している症例は,しばしば認められるし,その鑑別は必ずしも容易ではない.臨床症状としては,局所症状のみにとどまるものから,神経根症状を主症状とするもの(神経根症),脊髄症状を主症状とするもの(脊髄症)まで種々の程度で認められ,時にはこれらの症状が合併していることもある.また頸椎症の場台は椎骨動脈との解剖学的位置関係からBarre-Lieou症状を呈する症例も含まれる.頸椎症,OPLLいずれにおいても,その神経症状の発現機序は,脊柱管の狭小化に伴う神経根および脊髄の圧迫に起因している.頸椎症では椎間板変性に基づく骨棘等の増殖性変化が脊柱管を狭小化し,OPLLでは骨化した後縦靱帯が脊柱管を狭小化している.しかし,頸椎症性変化にしても後縦靱帯骨化にしても,これらの変化は,まったく無症状の頸椎にも認められ,その変化の程度と神経症状の発現とは,必ずしも並行していない.すなわち,症状発現に関しては,両者ともに他に種々の要因例えば動的刺激,髄内血行障害等が関与していることが示唆されている.
今回は,この両者の理解のために基本となる頸椎症性脊髄症(CSM)を中心に,その臨床症状の発生機序と臨床診断について述べ,次いでOPLLについて頸椎症との関連について,さらにCSMの鑑別診断について述べる.
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