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はじめに
情報技術の目覚ましい発達とその普及が各方面での業務の改善・省力化に大きな役割を果たしていることは言うまでもない.障害者リハビリテーションの領域でも,施設・機関の事務処理や研究業務ではコンピューターの利用が日常化し,また,多くの臨床計測機器がデータ処理装置を備えるようになってきている.しかし,リハの直接臨床や,リハ現場における情報のシステム化については困難な条件が多く,かねてより多くの職種よりなるリハチームにおける情報の一元化・標準化の必要性が唱えられ,また多くの試みがなされてきたにもかかわらず,一定の成果として明らかにされているものは数少ない.そういう中で,中村1)・長崎2)らは,脳卒中のリハにおいて,診断・機能的予後予測等の臨床利用を目的とした情報管理システムを開発し実地利用しており,Sultonら3)は,治療内容の質を判定することを主目的とした情報システムについて記載するなど,最近になっていくつかの研究成果が見られるようになってきている.また米国では,1984年以来,リハ医療における統一されたデータシステム(Uniform National Data System)の開発作業が,学会,連邦政府,リハ関係団体を挙げてのプロジェクトとして進められている4).また複雑で多種にわたるリハ資源(リハ機器,福祉制度等)の検索システムの開発も各所で進められており,最近では他施設からの利用が可能なシステムも発表されてきている5,6).
一方,ここで取り扱おうとしているいわゆる地域リハについても,地域医療システム・在宅老人ケアシステムなどと共に,情報の効率的・有機的管理がかねてより求められて来ている.地域リハの実施形態としては,医療機関が自ら関わった患者の在宅フォローの形で実施しているものや,保健所単位であるいは更生相談所の訪問事業として行っているものなど様々である.筆者の場合は,地域リハの中核機関として設置されたリハビリテーションセンターを中心として,行政機関を初めとする多くのリハ関連機関の参加の下で,組織的な地域リハ活動を進めるという立場にあり,ここでは,地域在宅障害者に対する訪問・通所リハサービスを念頭に置きながら,地域リハにおける情報システムについて検討したい.
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