書評
Trieschmann RB 著―Aging with a Disability
宮森 孝史
1
1七沢リハビリテーション病院脳血管センター心理科
pp.336
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105815
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本書の題名にあるagingは,文字通り年をとること,著者のことばを借りるなら,生きることと同義的に用いられており,必ずしも老化のみを意味するものではない.すなわち本書のテーマは,障害をもって年をとること,障害とともに長く生きてきた人たちに生じてくるさまざまな問題をとりあげ,それらを一つの理論的概念的枠組みでとらえ論じようとしたものである.従って,老年期に障害を受けた人の問題を論じたものではなく,従来にない新しいテーマを扱ったものといえる.
全体は6章より成る.導入として第1章では,本書のテーマを検討していく上での概念的枠組みが提供される.すなわち人間の行動あるいは適応を,心理社会的因子(P),生物的一器質的因子(O),環境因子(E)それぞれの相互作用による一体系としてとらえB=f(P,O,E),agingも障害もその体系の一つのパラメーターにすぎないことが述べられる.
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