ミニ情報
RB遺伝子
橋本 知子
1
1兵庫医科大学遺伝学
pp.226
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902719
- 有料閲覧
- 文献概要
網膜芽細胞腫(retinoblastoma; RB)は乳幼児に網膜から発生する腫瘍である.発症の頻度は出生約2万人に1人と低いが,この腫瘍の解析から癌抑制遺伝子の概念が確立された.1986年に至ってpositional cloningの最初の例として,RBで欠けている遺伝子であるRB遺伝子がクローニングされた1).
RB遺伝子は脊椎動物で共通して見いだされ,構造もよく似ているにもかかわらず,実験動物でのRBの報告はなく,RBはヒト特有の疾患であるらしい.また,正常RB遺伝子を発現するRBは報告がない.一方,RB患者の約14%に骨肉腫,軟部腫瘍などの2次腫瘍がみられ,RB遺伝子の欠失がこれらの発症に関連することが示されている.それ以外に肺小細胞癌,乳癌,前立腺癌など種々の腫瘍にもRB遺伝子の変異がみられる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.