特集 遺伝子・タンパク質のファミリー・スーパーファミリー
4.細胞増殖・細胞周期
抑制因子
RBスーパーファミリー
吉田 松年
1
1名古屋大学医学部病態制御研究施設
pp.430-432
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900956
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[構成員]RB,p130,p107
概説
発がんの原因となる遺伝子群の多くは優性のがん遺伝子であるが,近年劣性のものが次々と明らかにされた。これらは一対の対立遺伝子の双方が欠失または変異することによりがん形質を表すものであり,がん抑制遺伝子1)と呼ばれ,代表的なものがRBおよびp53である。RB遺伝子は遺伝傾向の強い小児悪性腫瘍である網膜芽細胞腫(retinoblastoma)の原因遺伝子として,1986年にクローニングされた2)。この腫瘍の場合,多くは第13染色体の一方の13q14の領域の欠失が先天的に存在し,胎生期の分裂増殖に際し他方が変異してRB機能が完全欠失すると腫瘍が発生すると考えられるが,なぜ網膜に特異的なのかは未だ謎である。RB遺伝子の産物pRBは,アデノウイルスの産生するがん蛋白EIAおよびSV40large T 抗原と強く結合することが示された3)。pRBがこれらウイルス性がん遺伝子産物と結合して突然変異の場合と同様,失活する(sequesteration)ことにより細胞ががん化すると考えられた。ではpRBの機能は何か。pRBは細胞周期に伴いG9-G1期には低リン酸化型であり,S-G2期には高リン酸化型に修復される4)。
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