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はじめに
今日,リハビリテーション医療の中に在宅ケアーの重要性が強調されるようになり,家族やリハスタッフを中心にして徐々に実践されつつある.その中で,在宅ケアーを必要としている障害者は,施設におけると同様に重要化している傾向にあり,家族の負担も大きくなってきている.
在宅重度障害者が必要としている介助の対象となる日常生活動作は種々の項目がある.中でも,とくに移動・移乗に関する介助は,人手を要し,かつ介助労作も大きく,最も重大な問題となる.
重度障害者の在宅ケアーにおいて,介助労作の軽減は,在宅リハビリテーションの成否にかかわる重要なポイントになる.この介助労作の軽減については,以下に述べる介助の手段に関してみていく必要がある.介助の手段項目は,
1)人的介助手段
2)介助機器による手段
の二つの方法が考えられる.後者はさらに,
①障害者自らが介助機器を制御し,目的を遂行する場合
②介助者が機器を制御し,その目的を遂行する場合の2つに分けて考えられる.例えば,電動車椅子の操作制御が①に該当し,障害者が電動車椅子へ独立して移乗できず,何らかの移乗介助機器を介助者が操作し,移乗させることが②に当る.
そこで,本稿では,成人脳性麻痺症例,頸髄損傷症例,進行性筋ジストロフィー症例の移動・移乗に関して,介助者が何らかの機器を使用して,その目的を遂行する点に中心を置き述べていく.その際の介助機器については,著者らが在宅リハビリテーションの中で工夫,作製したものを中心に説明する.市販されている多種多様の移動・移乗機器については,他書で詳細に解説されているので,ここでは触れないでおく.
また,介助機器を使用するに当たっては,その機器使用の前段階として人的介助が必要となる場合も少なくない.そこで,疾患によっては,この人的介助の際に考慮せねばならない点もあり,この事については,一部要点のみ説明を加える.
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