Japanese
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特集 義肢・装具
能動手の随意ひらきとじ手―その機構と臨床応用
Voluntary Open and Close Functional Hand.
首藤 貴
1
,
大塚 彰
1
,
赤松 満
1
Takashi Suto
1
,
Akira Ootsuka
1
,
Michiru Akamatsu
1
1愛媛大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Ehime University.
キーワード:
Upper Limb Prosthesis
,
Functional Hand
Keyword:
Upper Limb Prosthesis
,
Functional Hand
pp.959-965
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104435
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はじめに
我々の手の機能は周知のごとく非常に高度に分化している.種々の原因により上肢切断を余儀なくされると,失われた上肢機能を,義手により可能な限り補助しなければならない.そこで我々リハビリテーションスタッフは,切断者の生活面を充分考慮しながら義手処方を行うが,本来高度な機能を持つ上肢の特殊性により,下肢切断に比較して,上肢切断者の場合,障害者の満足度を得ることははなはだ困難である.また一方,義手パーツの現状も今後積極的に検討し,開発を進めてゆかなければならない課題を数多く残している.
義手の処方に際しては,障害者の行うべき作業内容を分析し,その作業に適合し役立つ義手を製作しなければならないが,体の一部として義手を利用する場合,やはり外観面も重要な要素となる.手としての外観を有し,把握機能を持つ義手としては,当然能動義手が利用される.しかし,切断者にとって現在の能動義手を使用した場合,コスメティックカバーの破損や汚れの問題,ケーブルの切損,能動義手に内蔵されるバネの破損,その他の故障が頻繁に生じて困っている.
能動義手に関しては,国産の部品が数少なく輸入製品を使用する場合があるが,その際,義肢交付に関する現行の医療制度が問題になり,義肢装着サービスを困難にしている.
我々は現在,従来の能動義手の力学的解析を行い,新しいタイプの義手の開発を進めている.今回紹介する随意開き閉じ手(V.O.C. Hand: Voluntary Open and Close Hand)は,ハンドにバネ機構を有さず,弱い力で義手をコントロールでき,従来の能動義手にない特性を得ることができたので報告する.
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