Japanese
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講座 障害者の移動(5)
介助による障害者の街の中の移動―応用動作を中心に
Transferring for the Dependent Handicapped Person in the Town and Community.
佐鹿 博信
1
Hironobu Sashika
1
1横浜市立大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University, School of Medicine.
キーワード:
介助
,
移動
,
車いす
Keyword:
介助
,
移動
,
車いす
pp.403-411
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105828
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はじめに
重度障害者が地域社会の中で生活するためには,街の中の移動ができるようにすることが不可欠である.たとえ介助を受けた移動であっても,街の中を安全で楽しく移動できることは,重度障害者の生活の質(QOL)の向上にむすびつく重要な条件である.Bowe1)は,便利に利用できる移送手段(公共交通機関)が整うことが重度障害者の自立生活(Independent Living,IL)の要であると述べているが,これは街の中の移動の問題が解決されることが前提であろう.
介助による街の中の移動の効率や安全性(表1)は,介助者というマン・パワーに依拠する要素が大きい.
そして,介助者の介助技術,障害についての理解,車いすの動作特性に関する知識などが大切なことである.一方,介助を受ける障害者側も,適切に介助を依頼する能力,正しい介助方法を介助者に指示する能力が必要である.この能力は,小児や判断能力の障害をもつ障害者では,保護者またはそれに代わる者に必要となる能力である.さらに,介助を軽減し事故を回避するために介助者に協力して自分の体を動かすことが重要なことである.
重度障害者の街の中の移動を実際に介助するのは,家族,家庭奉仕員,ホームヘルパー,ボランティア,福祉施設の職員,タクシー運転手などである.しかし,これらの者に対して,介助方法についての指導や講習が十分に行われているとはいえず2),医学的リハビリテーションの専門職による実技などの講習が必要と考えられる.
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