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はじめに
リハビリテーション医療においては,諸種の反射亢進を伴う患者が多く,その機序や程度を知ることが治療上大きな効果をもたらすことが少なくない.これらの機序や程度を知る方法としては,従来,理学的検査法と筋電計による検査法とが広く用いられてきた.前者は手軽に諸反射を調べる方法として極めて有効であるが,これによる評価結果は験者の主観に負うところが大きく,上述した機序や程度を正確に把握するには不向きである.また,後者は原理上極めて合理的で,反射亢進の機序や程度を定量的に評価できる1,2)が,特殊な装置を必要とする上に,刺激電極位置や刺激電圧などの選定が難しく,誰にでも容易に利用できるとはいい切れない.
このような問題を解決することを目標として,最近いくつかの新しい試みがなされている.文献(3)では,連続可変な周波数の電気刺激を経皮的に小指外転筋に加えて筋力周波数曲線を測定し,このパターンから反射を定量的に評価している.また,文献(4)では,足部を一定条件のもとで自由落下させて膝関節を駆動し,これに伴う膝関節角度変化のパターンから反射を評価しようとしている.さらに,文献(5),(6)では,腓骨神経に電気インパルスを加えて足の関節を駆動し,これに伴う足部の加速度変化のパターンから反射を評価している.これらの試みはいずれもまだ研究段階にあり,直ちに実用になるわけではないが,最新の電子技術を駆使した合理的な検査法で,評価値と反射との関係が比較的明瞭に対応づけられている.また,これらの試みで利用される装置は,上述した筋電計と異なり,容易に取り扱うことができる.中でも文献(6)の方法は,実用段階に最も近く,筋電図との対応関係もある程度まで明らかにされている.本稿では,この方法とこれによる評価結果を述べたあと,痙縮と固縮について簡単に検討する.
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