Japanese
English
特集 痙縮と固縮
痙性麻痺と固縮の徴候
Clinical Findings in Spastic Paralysis and Rigidity.
眞野 行生
1
Yukio Mano
1
1奈良医大神経内科
1Department of Neurology, Nara Medical University.
キーワード:
鉛管現象
,
歯車現象
,
折りたたみナイフ現象
Keyword:
鉛管現象
,
歯車現象
,
折りたたみナイフ現象
pp.329-334
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105588
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Ⅰ.筋緊張異常亢進(筋トーヌスの亢進)
筋トーヌスは,筋が弛緩した状態で,他動的運動に対する抵抗として定義されている.この筋緊張は体の構えや姿勢を頻回に変化させる時,体の種々の骨格を適当な関係に保つのに必要である.
筋の連続的な緊張は,筋組織,神経筋接合部,末梢神経,αおよびγ運動ニューロン,脊髄の介在ニューロンと運動制御中枢の統御によるものであり,運動中枢としての大脳皮質,基底核,中脳や脳幹網様体,小脳,前庭部が脊髄の運動核への筋緊張のインパルスを与えている.正常の安静時筋電図では,筋放電はみられないが,軽い緊張状態に保たれている.筋緊張は,一種の反射現象であり,筋緊張に影響を与えるのは,遠心路と共に求心路である.γ遠心路を介してのインパルスは筋紡錘の錘内筋線維を刺激し,そこから逆に求心性インパルスが脊髄前角に送られ,α運動ニューロンの反射性活動により筋の収縮が開始される.他動的に筋が伸張されると筋の筋緊張受容器が刺激され,固有受容覚情報が神経に与えられ,筋緊張が増加し,筋短縮反応がひきおこされる.これが筋緊張反射である.これは筋の緊張を感受する感覚器官の刺激により誘発される反応である.これは明らかに弛緩した正常筋でも軽い緊張状態に保たれており,これが正常の筋緊張であり,筋が,重力刺激,あるいは病気で正常域以上に刺激されると,筋緊張が高まる.
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