Japanese
English
研究と報告
片麻痺肩の関節造影所見―そのⅡ:亜脱臼肩における変化
Arthographic Change in Hemiplegic Shoulder. Part Ⅱ: Studies on Subluxated Shoulder.
白野 明
1
,
佐鹿 博信
2
,
大川 嗣雄
2
Akira Hakuno
1
,
Hironobu Sashika
2
,
Tsugio Okawa
2
1川崎中央病院リハビリテーションセンター
2横浜市立大学病院リハビリテーション科
1Rehabilitation Center, Kawasaki Chuo Hospital.
2Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University Hospital.
キーワード:
片麻痺肩関節
,
亜脱臼
,
関節造影
Keyword:
片麻痺肩関節
,
亜脱臼
,
関節造影
pp.203-207
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105559
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はじめに
脳血管障害後片麻痺患者にしばしば見られる肩関節痛は,肩関節の拘縮・肩手症候群とともに片麻痺患者のリハビリテーションにおける阻害因子の一つとなっており,既に多くの研究者達の研究対象となって来た.その中で関節造影法による片麻痺肩関節軟部組織の検索は,Najenson,福井,Nephomucenoによって行われ,高い率での腱板断裂・包癒着の存在が発表されている1~5).
われわれは,臨床上特に問題のない成人肩関節においても造影上の変化が少なからず観察されることから6),片麻痺そのものの麻痺肩への影響を捉えるために,先に片麻痺者の両側肩関節における造影所見の比較を行った.その結果,癒着性所見は麻痺肩において有意に多く認められ,片麻痺との関連性が認められたが,腱板断裂については麻痺側の20%に認められたものの,非麻痺側においても27.8%に認められ,片麻痺が腱板断裂の発生に関与しているとは考えられなかった7).今回は片麻痺肩を支配している重要な因子とされている亜脱臼について,その麻痺関節に及ぼす影響を知る目的で,亜脱臼のある肩48例,亜脱臼のない肩47例において関節造影による検索を行い,両群における所見について検討すると共に,亜脱臼位での関節造影を行い,麻痺性亜脱臼位における関節軟部組織の変化を検索した.
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