Japanese
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特集 最近の進歩と展望
在宅酸素療法
Home Oxygen Therapy.
古賀 良平
1
Ryohei Koga
1
1国立療養所東京病院理学診療科
1Tokyo National Chest Hospital.
キーワード:
慢性呼吸不全
,
在宅酸素療法指導管理料
,
在宅酸素療法に対する胸部疾患学会の見解
Keyword:
慢性呼吸不全
,
在宅酸素療法指導管理料
,
在宅酸素療法に対する胸部疾患学会の見解
pp.27-34
発行日 1986年1月10日
Published Date 1986/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105519
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はじめに
昔ほどにはないにしても,「酸素を使う必要があるくらいなら入院していた方がよい」とか,「酸素を使うようになったらもう終り」とかよく聞く,いわば儀式的に臨終に酸素吸入をさせる場面などを映画や芝居などであまり見せつけられると,酸素療法は家庭でなど使うものではないような印象を与えてしまう.しかし十分な医学的な管理と,酸素吸入設備さえ整っていれば,多少は動脈血酸素分圧は低下し,臨床上チアノーゼのあるような入院中の患者でも,家庭に帰り得,他人に気兼ねすることもなく,家人と過せるし,とくに自由業や自営業の人はそれなりの仕事も遂行することができ,生命の質(Quality of Life)も高め,社会人としての生き甲斐も感じさせることができるというものである.酸素療法が必要だというただそれだけの理由で,多くの患者が入院を余儀なくされている現実は何んとしても打開しなければならない.また医師の指導のもとにすでに在宅酸素療法を行っていた一部の者も長期にわたる酸素代金はかなりの経済的負担となっていた.幸い,関係者の努力により,昭和60年3月1日から在宅酸素療法が社会保険診療に採用されることになった.このことはわれわれ医師にとっても長い間の願望であり,患者にとっては大変な福音である.そして呼吸障害者のリハビリテーションのひとつの隘路がようやく開かれたことを意味している.ここに在宅酸素療法のあらましを紹介し,医療資源の有効な活用がなされるよう祈ってやまない.
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