特集 今日の呼吸器診療と今後の展望
呼吸管理
酸素療法
角川 智之
1,2,3,4
1山口大学呼吸器・健康長寿学講座
2防府リハビリテーション病院内科
3国立病院機構山口宇部医療センター呼吸器内科
4長崎大学医歯薬学総合研究科医療科学専攻呼吸器内科学
キーワード:
慢性呼吸不全
,
長期酸素療法
,
在宅酸素療法
,
慢性閉塞性肺疾患
,
肺高血圧症
Keyword:
慢性呼吸不全
,
長期酸素療法
,
在宅酸素療法
,
慢性閉塞性肺疾患
,
肺高血圧症
pp.1485-1488
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1485
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Summary
▪呼吸不全とは,安静時における室内気吸入下のPaO2が60Torr以下の状態と定義される.PaCO2が45Torr以下をⅠ型呼吸不全,45Torrを超える場合はⅡ型呼吸不全と分類される.
▪慢性呼吸不全に対する酸素療法の最も重要な目的は,生命予後の改善である.
▪日本における長期(在宅)酸素療法(LTOT/HOT)の対象疾患は,高度慢性呼吸不全例,肺高血圧症,慢性心不全,チアノーゼ型先天性心疾患および重度の群発頭痛である.このうち,高度慢性呼吸不全例とは「安静時PaO2≦55Torrの患者」または「PaO2≦60Torrで,かつ睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者であって,医師が必要であると認めた患者」である.安静時のPaO2が60Torr以上のCOPD患者に対するLTOT/HOTの適応を支持する報告はみられていない.
▪LTOT/HOTでの酸素吸入時間は,少なくとも1日15時間以上,可能な限り18時間以上が原則である.LTOT/HOTでの酸素流量は,PaO2>60Torr(SpO2>90%)を維持することを目標にして決定するが,定期的に動脈血ガス分析を行ってPaO2,PaCO2,pHを確認し,高二酸化炭素血症の増悪の有無を確認する必要がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2019