Japanese
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特集 脳卒中のリハビリテーション
脳卒中後片麻痺のリハビリテーションへの関節運動学的アプローチの応用
The Application of the Arthrokinematic Approach to Rehabilitation of the Stroke Hemiplegia.
博田 節夫
1
Setsuo Hakata
1
1国立大阪南病院理学診療科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Osakaminami National Hospital.
キーワード:
関節運動学的アプローチ
,
片麻痺
,
関節運動学
Keyword:
関節運動学的アプローチ
,
片麻痺
,
関節運動学
pp.837-843
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105480
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はじめに
関節はその運動時において関節面相互に動きが起こる.この関節面の動きが障害されると有痛性の可動域制限が現われるが,それに対する治療法として関節モビリゼーション(joint mobilization)が1970年代にクローズアップされ1,2,3),わが国においても紹介された4,5,6).
関節モビリゼーションは古くから整形外科徒手治療法(orthopedic manual therapy)の一つとしてマニプレーションとともに知られているが,欧米においてはマニプレーションと区別し難い手技も多く,また,関節モビリゼーションが関節授動術の意味を含んでいるため誤解を生じ,普及を妨げる結果ともなった.著者らは当初から関節運動学を基礎とする関節包内運動の治療手段として重要視し,欧米の暴力的ともいえる手技を排除し,ごく少数のものを残し,ほとんどは新しい手技を考案し,その有効性について報告した7,8,9).しかし,なお暴力的矯正術との誤解を払拭しえなかったので,関節運動学に基づく治療という本質を表わす言葉であるarthrokinematic approach(以下AKAと略す)とその訳としての関節運動学的アプローチを用いることに変更した9,10).
関節運動学的アプローチは運動の最も基本となる関節包内運動の治療法であるので,疾患の種類に関係なく,また,神経,筋,関節など部位を問わず,すべての運動器系の障害の治療に不可欠のものである.ここでは欧米で使用されているjoint mobilizationではなく,新しい関節運動学的アプローチの原理と手技を紹介し,脳卒中におけるその応用と限界について述べる.
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