巻頭言
ダーウィニズムとリハビリテーション
高橋 勇
1
1独協医科大学リハビリテーション科
pp.329
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105373
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人間が人間であることの所以は,二本足で歩くことができることと,ことばを話すことができることであるといわれている.進化論によれば,人間は35億年昔,単細胞動物から出発して,進化に進化を重ねようやく万物の霊長の座を占めることができたというわけである.これはあたかも登山家が高い山の登頂に成功して,山頂に旗を立て,意気軒昂としている姿に似ている.
進化論的な考え方は,生物学ばかりでなく医学や社会学,あるいは日常生活上の物の考え方にまで深く影響をおよぼしているように思える.私たちは物をみるとき,過去のものよりは現在のものの方が優れており,そして未来はもっと優れたものになるだろうと考えがちである.このように下等から高等へと発達の方向ばかり目が向いてしまいがちなのも多分に進化論が影響しているのではないだろうか.
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