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平成18年(2006年)の診療報酬改定でリハビリテーション(以下リハ)の枠組みが大きく変わりました.その中でも 1)疾患別リハの導入,2)日数制限の設定,が最大の変更です.これは急性期,回復期は専門医のもとで個別リハを行い,維持期(制限日数後)のリハは介護施設で集団療法を主として行う,という主旨に基づくものでした.しかしこれは医療におけるリハと介護施設(主として通所リハ施設)におけるリハとはその質も目的も全く異なることを無視した,机上の考えであったと思います.その理由として1)医療では疾患の治療を目的とし,専門医の診断,処方,定期的評価のもとにPT,OTらが1単位20分という決まりの中で行います.外来では1~2単位,多くても運動器リハでは3単位くらいで行われています.ところが介護のリハでは治療としてのリハよりもケアを目的とし,日常生活動作支援という観点が主体となります.そのため基本的には3時間以上施設にいることが義務付けられています.医療と同様のリハを希望する患者にとって,150日を過ぎた途端に「患者」から「利用者」と名前が変わり,ほとんどの場合は整形外科とは無関係な,専門医のいない介護施設で,新しいスタッフから,異なるリハを受けることには抵抗があります.そのため中医協の行った実態調査でも,制限日数終了後に介護施設でリハを継続したものは数%しかいませんでした.ちなみに現在,通所リハ施設は全国に約6,500施設あります.そのなかで整形外科医がリハを行っているところは病院,有床診療所,無床診療所を合わせて200施設程度で,とても制限日数終了後の患者の受け皿としては足りません.そのような現状から厚労省は,診療報酬改定年ではない平成19年4月,リハに関して異例の再改定を行い,リハ医学管理料という名目で制限日数後もリハを継続できるよう制度変更を行いました.しかしこれも残念ながら,患者への説明が難しいこと,4回目以降は無料となるため患者が頻回に受診することになり,採算が合わずあまり利用されていません.さらにこの制度自体も,介護施設でのリハ受け入れ体制が整うまでの暫定的処置とのことです.
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