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編集後記
横山 巖
pp.326
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105372
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今月の特集は老人痴呆とリハビリテーションである.高齢化社会が進行中の今日のわが国において,老人痴呆は極めて大きな社会的関心事となっているが,リハビリテーションの領域においても大きな問題としてクローズアップされてきている.
本特集では先ず,老人痴呆(老年期痴呆)の定義,診断,病理に関する最近の知見について,阿部・東儀氏がわかり易く解説をされている.老年痴呆に関する最近の病態生理学的知見の進歩については注目すべきものがあるが,一方,臨床に携わる者にとっては,著者らが指摘されたように,痴呆症例の20~30%を占める回復可能の痴呆の鑑別に細心の注意を払わなければならない.次に米本氏らは,超音波による総頸動脈血流量の測定値と老人痴呆に関する長谷川スケールの値との相関関係について検索して有意の知見を得たことを述べられたが,この超音波総頸動脈血流量測定は比較的簡単に行える検査法なので,もし再現性がかなり高いものであるならば,痴呆以外にもリハビリテーション上で応用の範囲が広いものと思われる.次に三島氏らは脳卒中のリハビリテーションと老人痴呆について,水島・岩倉氏は大腿骨頸部骨折のリハと老人痴呆について,また,矢内氏は痴呆老人のデイケアについて,それぞれ,豊富なご経験に裏打ちされた数々の知見を述べられている.ことにデイケアに関しては将来の実施を考えておられる方が多いと思われるので参考になることが多いであろう.
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