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編集後記
横山 巖
pp.646
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106114
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今,伊東沖の海底噴火の報を聞きながらこの後記を書いている.沖合とはいえ岸から遠からぬ所からマグマの噴出が起こり、頻発する地震の度に伊東市民はいても立ってもいられぬ思いであろう.この海底噴火が無事終息することを祈る次第である.思えば吾々は火山列島の上に生息しているのであり,日本国中どこにでも今回のようなことは起こりうるわけで他人事とは思えない、しかし,このような火山地帯に在るからこそわが国は世界でも屈指の温泉の豊富な国なのであり,神話の時代から温泉は疾病の治療に用いられてきた.現在,山梨県,長野県には「信玄の隠し湯」と称する温泉が数多くみられるが,こんな戦国時代の英雄武田信玄が戦傷兵に温泉治療を行わせた遺跡であり,いわば古典的リハビリテーションの場であった.第2次世界大戦においてもわが国では全国の著名温泉地に設けられた陸海軍病院や傷痍軍人療養所で古典的リハビリテーションが温泉療法という形で行われた.新しいリハビリテーション医学が確立され,早期リハの重要性が認識されて,街中の一般病院にリハ科がおかれるようになっても,ヨーロッパやわが国では,温泉病院はリハの後方病院として活用されている.
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