特集 痴呆性老人の地域ケア
老年期痴呆の特性について
室伏 君士
1
Kunshi MUROFUSHI
1
1国立療養所菊池病院
pp.370-374
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900107
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老年期痴呆患者を処遇的に考えていくときには,三つの要因を配慮する必要がある.第1は病気(老年期痴呆性疾患)に対するもので,原因疾患の診断とその治療が問題となる.第2は症状(痴呆症候群)に対するもので,ここでは痴呆そのものの改善は困難でも,その付随症状(異常行動や精神症状)への対症療法や,リハビリテーション,看護などの役割が大きい.
問題は第3の人間(痴呆というハンディキャップを持った老人)に対するもので,地域ケアではこれが問題となる.ここでは痴呆性老人の生き方,生きがい,生活の質(QOL)を重視した介護や処遇が重視される.これには在宅介護や施設ケアなどの地域のケアシステムの確立と,それを支える地域の活動や素地づくりなどが必要である.
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