巻頭言
予防心臓病学とリハビリテーション
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター
pp.761
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105257
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心臓病の中でも冠動脈性疾患(CHD)は欧米における死亡原因の主要部分を占めているが,近年,特に米国ではそれによる死亡率が次第に低下していることが示されている.わが国ではCHDが欧米に比して著しく低いために疫学的な研究が行われにくく,十分に実態が把握されていない.
近年CHDによる死亡がやや頭打ちにみえるのは,診断技術の進歩と,薬物療法や外科療法の目ざましい発展によるものと想像される.しかし,昭和55年に行われた厚生省の循環器疾患基礎調査によれば,わが国の男性にみられる血清コントロール値には年代差がなく,一様に平均値が185~190mg/dlの間にあるこは,中高年層での値があまり高くなっていない反面,青・成年層のそれが比較的高いことによると思われ,又,わが国の学童の血清コレステロール値が米国のそれとほぼ同等であることを考え合わせると,このままの状態が続けば遠からず心臓病による死亡率は増加の方向へ転じていくものと予想される.
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