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特集 慢性心不全の考え方
慢性心不全のリハビリテーションとQOL
Rehabilitation and Quality of Life in Chronic Heart Failure
道場 信孝
1
Nobutaka Doba
1
1帝京大学医学部第三内科
1Department of Internal Medicine Ⅲ, Teikyo University School of Medicine, Ichihara Hospital
pp.659-665
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900892
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はじめに
急性心不全では,安静時でも身体の需要に見合った血流を供給することができないので,主要臓器の低灌流,左室充満圧の上昇,そして,肺や静脈系へのうっ血を生じる.このような病態では利尿薬や血管拡張薬の使用とともに,まず安静が伝統的な治療法として行われ,これによって腎血流が増し,尿量が増え,症状は改善される.また,それと同時に安静自体が利尿薬のNa利尿作用を高めることから,今日でも安静は急性心不全の治療において最も重要な位置を占めている1).
しかし,一旦心不全が安定化し,水分貯留や浮腫が適切にコントロールされれば(慢性非浮腫性心不全),背景疾患の重症度や日常生活の需要に応じて患者を動かしていかなければならない.かつてはこの時期においても,特に心筋症では長期の安静が有用とされており,事実,1980年代の後半に至るまでは,全ての心不全患者に安静療法が伝統的に行われてきた.しかし,現在では無作為対照研究の成績から,むしろ安静臥床によって生じる深在性静脈血栓症,筋肉の廃用性萎縮,肺の感染症など多くの合併症の故に,長期安静療法の有用性はもはや否定されている.
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