巻頭言
整形外科医とリハビリテーション
田辺 剛造
1
1岡山大学整形外科
pp.677
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105237
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私は最初からの整形外科医ではなく,昭和29年に当教室が故児玉俊夫教授により開設された時,一般外科より転向した者である.当時一般外科でも整形外科的疾患を取り扱っていたので,とりたてて戸惑いはなかったが,リハビリテーションという言葉は私にとって全く新しいものであった.特に児玉教授は肢体不自由児の父ともいわれた故高木憲治先生の門下生でもあった関係で,第3の医学としてのリハビリテーションの重要性をことあるごとに私達に教え込まれた.それでもそのことが十分に理解されないまま,術後の後療法的なものとも混同し,外科医であるのならば,何もそんな面倒なことをしなくても,手術の腕前でうまく治してやればよいのではないかと不遜なことも考えていた.
2年間整形外科的基礎技術を習得後,最初に勤務したのが,肢体不自由児施設である高知県立整肢子鹿園であった.此処ではじめて現在の医学では治し得ない疾患に直面し,しかも子供の時からhandicapを持って生活をして行かなければならない人達に対して,医師はどう対処しなければならないのか,また何がしてやれるのかを常に考えなければならない場合があることを知らされた.5年という短期間ではあったが,子供達と共に生活をしてみて,これまで習得しえた単に治療上の知識や技術のみでは不十分であることを痛感させられた.
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