Japanese
English
紹介
半側空間失認に対する車椅子の工夫
Advice of Wheelchair for Poststroke Hemineglect Patients.
前田 真治
1,2
Nasaharu Maeda
1,2
1神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢病院
2北里大学医学部内科
1Dept. of Rehabilitation Medicine, Kanagawa Rehabilitation Center, Nanasawa Hospital
2Dept. of Internal Medicine, Kitasato University, School of Medicine.
キーワード:
半側空間失認
,
車椅子
Keyword:
半側空間失認
,
車椅子
pp.537-539
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105201
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はじめに
脳血管障害において,半側空間失認に,日常遭遇する率が高く,特に右大脳半球損傷による左半側空間失認がよく知られている.また,この障害はリハビリテーションに際して最大阻害因子のひとつとなり,ADLや移動動作の自立の際に重要な影響をおよぼすものである.さらに,半側空間失認の重度な患者のほとんどは,明らかな半側空間失認,病態の詳細なる認知不足,ならびに,半身知覚鈍麻をともなっており1),片麻痺も重度で車椅子レベルの移動がゴールとなることが,しばしばみられる2).
また,車椅子動作も身体失認をともなっているためか,シートからずれないための腹部のベルトをしていたとしても,図1のごとく,徐々に,背もたれにもたれかかったまま臀部を前方にずらし,いまにもずり落ちそうな坐り方をしているのがよく目につく.そのため,患側下肢は,ふっとプレートに足部をのせたまま,せり出されたように前方へ突出し,大腿部から膝部にかけては麻痺のため外旋位および外転位をとり,股を開いたような形となる.それに加え,車椅子を移動する際に半側への注意集中力低下,患側知覚低下,病態の把握力低下なども手伝い,患側膝部付近に外傷をきたすことも少なくない.
今回,著者は,このような半側空間失認患者の車椅子動作に注目し,以下に述べるような車椅子の工夫をしたので報告する.
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