特集 理学療法の展望2006
第Ⅱ部 理学療法の発展と課題
疼痛と物理療法
川村 博文
1
1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
キーワード:
疼痛
,
物理療法
,
EBM
Keyword:
疼痛
,
物理療法
,
EBM
pp.1190-1191
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100731
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1.疼痛の把握と物理療法の評価および治療技術の現状
国際疼痛学会は「痛み(疼痛)とは,生体の実在上あるいは潜在的な組織傷害に伴って起こる知覚的,情動的な不快体験である」と定め,実在上の組織損傷に伴って起こる知覚的な不快体験としての疼痛が存在する一方で,潜在的な組織損傷に伴って起こる情動的な不快体験としての疼痛は心理的要因が関係するとされている.
日本理学療法白書の中では,物理療法の定義を「物理的なエネルギー(熱・水・光・電気・徒手) を外部から人体に応用し,疼痛の緩和,循環の改善,リラクセーションの目的で使用する治療法である.温熱療法,水治療法,光線療法,電気治療,マッサージに分類される」1)と述べている. このように物理療法の対象者の多くは痛みをもつ患者にもかかわらず,前述の痛みの定義でわかるように,痛みは極めて主観的で刻々と変動することもあり,痛みを把握することは困難で,物理療法の各疼痛治療に関する評価および治療技術の確立をも阻んできた.したがって,その治療技術, 評価技術には多くの創意と工夫を行い,効果的な運動療法との併用も重要で,さらに情動的なタイプの疼痛には心理学的・社会科学的な学際的アプローチを用いることが不可欠となる.
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