特集 梅毒の眼合併症
1 梅毒と梅毒性眼疾患の動向と発症のタイミング
八代 成子
1
1国立国際医療研究センター眼科(東京都)
キーワード:
梅毒性眼疾患
,
眼梅毒
,
梅毒
,
梅毒性ぶどう膜炎
,
強膜炎
,
動向
,
ocular syphilis
,
syphilitic uveitis
,
scleritis
,
trend
Keyword:
梅毒性眼疾患
,
眼梅毒
,
梅毒
,
梅毒性ぶどう膜炎
,
強膜炎
,
動向
,
ocular syphilis
,
syphilitic uveitis
,
scleritis
,
trend
pp.509-513
発行日 2023年6月5日
Published Date 2023/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003152
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梅毒(syphilis)はスピロヘータ属のひとつであるTreponema pallidum(TP)の感染による全身性の感染症で,経胎盤感染により生じる先天梅毒を除き,性感染症の代表的疾患のひとつとして広く周知されている。陰部や皮膚,腎臓,脳,神経など多くの臓器を侵し,複雑な進行形態をとる慢性感染症で,眼部ではあらゆる部位に病変を生じ,欧米では眼梅毒(ocular syphilis)と呼ばれている(日本眼科学会の提唱する『眼科用語集 第6版』に「眼梅毒」は存在しないため,以後梅毒性眼疾患で統一する)。梅毒の発生はペニシリンの普及により,第二次世界大戦以降世界的に激減した。しかし世界保健機関によると,1990年頃から,複数の国で再流行がみられ,2016年には世界で年間約630万人が梅毒に新規に罹患したと推計されている1)。米国CDCのサーベイランスでも2020年に133,945例の報告があり,2019年から2020年にかけて6.8%の増加がみられるなど2),世界的規模で広がりを見せ,梅毒性眼疾患も問題となりつつある。本稿では,梅毒および梅毒性眼疾患の動向と,梅毒の各病期における眼病変について述べる。
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