Japanese
English
特集 高次脳機能障害(その2)
<症例報告>
記憶障害患者の復職可能性について
Vocational Potentiality in Amnesic Syndrome Patients.
原 寛美
1
,
上田 敏
1
Hiroyoshi Hara
1
,
Satoshi Ueda
1
1東京大学医学部付属病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
記憶障害
,
復職
Keyword:
記憶障害
,
復職
pp.709-713
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105022
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はじめに
記憶障害は失語・失行・失認などとともに中枢神経障害に基因する巣症状の一つと看做されるが14),失語症と合併していたり2),痴呆の一症状であることもあり,単独で問題になることは必ずしも多くはない.しかし,アルコール性疾患はもとより,脳血管障害(とりわけ後大脳動脈病変1,13),前交通動脈瘤クモ膜下出血後4,20)),脳腫瘍(例えばcraniopharingioma)などによって,側頭葉正中側16),前頭葉底面14),視床内側部19,21)などに病変が及ぶ場合,記憶障害が生じることは従来からよく知られている.この場合は他の障害を伴わずそれ自体が問題となることが多い.したがって,リハビリテーション医学にとって記憶障害の診断・治療は重要な問題であると思われる.
本稿は,東大リハビリテーション部においてわれわれが経験した典型的健忘症候群の3症例について,共通する障害像を明らかにするとともに,復職の可能性を中心として検討したものである.
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