気分障害を抱える労働者への休職・復職支援の現状と課題

Support for Leave and Return to Work for Workers with Mood Disorders

抄録

　近年，職場におけるメンタルヘルス問題が注目され，特に気分障害やストレス関連疾患による休職・復職支援の必要性が高まっている。気分障害は世界的な健康問題であり，労働者の欠勤や生産性低下を引き起こし，アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムを通じて経済的損失をもたらす。本稿では，気分障害が労働に及ぼす影響と，休職および復職における支援の重要なポイントを解説した。

　休職時には，労働条件や補償内容の確認が必要であり，復職においては段階的な復帰やリワークプログラムの活用が推奨される。さらに，復職の可否を判断するためには，臨床症状の改善や労働能力の多角的評価が不可欠である。また，主治医と職場との情報共有や，復職後の定期的なフォローアップが，再発防止や労働能力の回復に寄与する。

　メンタルヘルス問題への対応は，個人の健康のみならず，職場全体や社会経済にとっても重要である。医療機関，職場，労働者が連携し，効果的な支援体制を整備することが求められる。