Japanese
English
特集 高次脳機能障害(その2)
<症例報告>
右中大脳動脈灌流域硬塞によりMotor Impersistenceを呈した左片麻痺者の1症例
A Case Report of Left Hemiplegia with Motor Impersistence due to Infarction of the Right MCA Area.
小澤 和夫
1
,
平木 治朗
1
,
重原 正則
1
Kazuo Ozawa
1
,
Jiro Hiraki
1
,
Masanori Shigehara
1
1星ヶ丘厚生年金病院リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, Hoshigaoka Koseinenkin Hospital.
キーワード:
左片麻痺
,
Motor Impersistence
Keyword:
左片麻痺
,
Motor Impersistence
pp.715-718
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105023
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はじめに
脳血管障害性左片麻痺患者において自発性に欠け集中困難で,動作の持続性に乏しいため,運動療法実施上に困難を感じる症例がある.
Fisher1)は,脳損傷患者において命令による閉眼,挺舌や凝視などの随意的な動作の維持が不能という状態をMotor Impersistence(以下,MIと略す)と命名した.責任病巣については,平井ら2)は劣位半球のarea6,8を含む領域中,中大脳動脈灌流で,しかも前大脳動脈灌流域との境界に近い領域であると推定している.また彼等はMIは劣位半球障害による高次神経機能障害としては,もっとも高率に出現すると述べている.
リハビリテーション医療との関係については,Ben-Yishay3)が重症のMIほどADLの自立性や歩行能力などの回復が悪く,長期入院となることを指摘している.臨床の場においてMIを呈する症例は「やりにくい」と感じるタイプである.にもかかわらず,これまでMIは運動療法実施上において特別な注意が払われていない感がある.
今回われわれは,発症後2週目には著明なMIを呈していたが,6週目より徐々に消失し,屋内歩行が自立した症例を経験し,その経時的変化とMIに対する運動療法に若干の知見を得たので報告する.
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