脳血管障害のCT像

Computed Tomography in Cerebrovascular Diseases.

はじめに

　1972年，英国のEMI社が始めてCTスキャナーを市場に出して以来，その普及発達は目覚ましいものがあり，我が国においても，1975年，東京女子医大に設置された第一号機を皮切りに増加の一途をたどって，現在既に約2,000台が稼動中であるといわれている．

　CTに関する臨床面での本格的な論文もEMI-scanner発明者G.N. Hounsfieldの協力者であるJ. Ambroseの論文¹⁾を始めとして，PaxtonおよびAmbrose²⁾，Newら³⁾，Scottら⁴⁾，Bakerら⁵⁾，喜多村ら⁶⁾のそれと続き，現在ではCT装置の普及に伴って，文字どおり枚挙にいとまがない程の数に達しており，その結果，臨床的評価がほぼ確立して，CTは今日，神経学の臨床上必要欠くベからざる手段となっているのである．

　本稿ではこのCTの広範な適用範囲のうちから，各種の脳血管障害について自験例を提示しつつ解説を加えて行く．