Japanese
English
特集 Duchenne型筋ジストロフィー症
上肢機能の経過とその評価
Natural Course and Evaluation of the Upper Extremities Function in Duchenne Muscular Dystrophy.
松家 豊
1
Yutaka Matsuka
1
1国立療養所徳島病院
1Tokushima-Byoin National Sanatorium.
キーワード:
筋力
,
ROM
,
ADL
,
機能障害分類
Keyword:
筋力
,
ROM
,
ADL
,
機能障害分類
pp.245-252
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104925
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はじめに
DMD(Duchenne型筋ジストロフィー症)の筋萎縮は進行性で一般に3・4歳頃,腰帯部にはじまり,それから4・5年おくれて肩甲帯部に出現し,上肢の中枢側から末梢に向って進展する.この筋萎縮による筋力低下は運動学的にみて,まず肩の安定性が失われ自由度を減じ,次で肘の伸縮性が減少し遂には肩,肘の運動機能は喪失する.目的動作は末期には前腕以下の残存した筋群によって営まれるようになる.
リハビリテーションからみた上肢機能は下肢機能が廃絶した後も残存し,手指を中心としたADL機能が長く保持されて生きがい作りに励むことができる.知能的には変化が少ないので上肢機能のリハビリテーションに対する位置づけは極めて重要といえる.
進行性で根本的治療法のない現状において上肢機能訓練のプログラム,ADLの維持,補助具の開発,あるいは作業療法など治療および予防的見地に立っての上肢機能障害の分折,その増悪因子の分析は必要である.しかし症状の進展によって広範な筋萎縮による筋力低下を招来することは複雑な上肢機能をさらに複雑にし,その解明は容易でない.したがってこの方面のり研究は少なく,上肢概能障害の自然歴についても十分明らかとはいえない.また,その評価方法も統一した見解に至っていない.この様な現状をふまえ,研究段階のものも含めて述べることにしたい.
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