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特集 治療体操の見直し
喘息体操―気管支喘息の治療法の1つとしての呼吸練習運動
Physical Exercise Treatment of Bronchial Asthma.
馬場 実
1
Minoru Baba
1
1同愛記念病院小児科
1Department of Pediatrics, Dohaikinen Hospital.
キーワード:
気管支喘息
,
呼吸練習運動
Keyword:
気管支喘息
,
呼吸練習運動
pp.111-115
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104899
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はじめに
気管支喘息は「発作性に始まる呼気性呼吸困難,喘鳴,咳嗽をくり返す亅疾患であり,これを病態生理学的にみるならば「広汎な気管支の狭窄による疾患で,その強さが自然に,あるいは治療によって短時間で変化し,かつ心血管系疾患によらないもの」と定義することができよう.
このように,気管支喘息は症状も病態も比較的単純であり理解しやすいが,その発作は文字通り突然に始まることが多く,ときには数分以内に重症化して死の転帰をとることもある.
気管支喘息の原因は,アレルギーが主なものとして注目されており,とくに,ここ二十年来の免疫学の進歩と相まって,気管支喘息の発症におけるアレルギーの関与について,いくつかの知見がもたらされた.たしかに,成人の気管支喘息の半数,小児の気管支喘息の70~80%では,何らかのアレルギーの関与が証明されるが,その他に自律神経(とくにその不安定,vagotonia),心因,感染,運動,気象や,気道の過敏性が関わり合いをもっていることが明らかにされている.
このような気管支喘息は,小児においては5歳までに発症するものが90%を占め,その他10年余の経過をへて思春期前後までに70%余りが治癒するが,残りは成人にまで持ちこす.一方,成人の気管支端息は,小児期より移行したものと,20歳すぎて,あるいは40歳すぎて発症するものがある.
今日では気管支喘息は一種の文明病ともいわれ,その数は増加の傾向にある.正確な数は不明であるが,人口の1~2%の罹患率から推定すると,最低150万人から2,300万人の患者数がいると考えられる.この内,小児気管支喘息の数は30万人から40万人といわれている.
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