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はじめに
慢性闘節リウマチ(以下RA)は,原因不明の慢性進行性疾患で,関節を中心とする炎症・疼痛を主症状とし,女性対男性の比は4:1と女性に多く,全国で患者数は50万といわれている.リハビリテーション(以下リハ)と全身的疾患管理の進歩で寝たきりRA患者が減少し,同時に平均寿命が延びて長期間歩行可能の患者が増えるに従って,荷重関節である脊椎,股,膝,足関節に負担がかかり,これら関節の破壊が促進された結果,種種の問題が生じ,RAそのものの病状が変りつつある.
この中で頸椎の異常は,Sharpl,2)が報告して以来,いくつかの報告がなされているが,比較的生命に直接関係の少ないRAの諸症状の中で,脊髄症状による四肢麻痺から,呼吸停止に至る重大な症状を現わすため,特に管理が大切である.
RAにおける頸椎病変は,40~88%1~4)といわれ,コルチコステロイドの使用が影響しているという説もあるが,RAには種々の型があり,コルチコステロイドを使わざるを得ない重症RAでは当然頸椎の破壊も早いはずであり,今回述べるように,頭の重さが頸椎へ及ぼす影響を考えると,寝たきりのRA患者が少なくなったことが,かえって頸椎の病変を悪化させたと考えても不思議ではない.
頸椎の病変は大きく2つに分けることが出来る.すなわち,第1頸椎と第2頸椎歯状突起を固定している靱帯が侵されておこる,歯状突起の前後方向と垂直方向への亜脱臼,および,第2~7頸椎の前後方向への亜脱臼であり,後者では頭の重さで上方の頸椎が前方へずれるのが常である.
今回はX線撮影時,坐位と臥位,頸の前後屈による亜脱臼の程度の差から,RAの頸椎異常に及ぼす姿勢の重要性とリハの際のリスク,頸椎装具の意義,亜脱臼の保存的治療などについて述べ,リウマチ体操での首の運動の危険性を中心に,他の荷重関節の体燥についてとくに禁止すべき運動と積極的に行うべき運動に言及する.
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