論述
慢性関節リウマチの頸椎変化—環軸関節を中心として
七川 歓次
1
,
孫 瑢権
1
,
高橋 貞雄
1
,
太田 寛
1
,
藤田 米次
2
,
小瀬 弘一
2
,
武田 光弘
2
Kanji SHICHIKAWA
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
2国立白浜温泉病院
pp.15-24
発行日 1968年1月25日
Published Date 1968/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903859
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慢性関節リウマチ患者は頸椎においても,他の関節におとらず多彩な症状を示すことが明らかとなりつつある.不思議なことに,これに関する研究が主として最近10年間の収穫であることは,頸椎という解剖学的な部位によるのかもしれない.Brocher(1955)の後頭頸椎領域の診断,病理に関する総括的な著書においても,強直性脊椎炎や痛風についての記載はあるが,慢性関節リウマチにはふれていない.しかし,慢性関節リウマチ患者が頸部の痛みや機能障害を訴えることはすこぶる多く,現在ではこの訴えを頸椎の炎症病変と直接結びつけて考えうる十分な根拠が得られるようになつたわけである.ずつと以前に,慢性関節リウマチ患者の頸椎変化が問題となつたのは,主として環軸関節,ときには上位椎体の亜脱臼による神経症状または脊髄圧迫症状のために,あるいは他の後頭環軸椎の先天異常や外傷による症例とともにとりあげられてきたので,すべて症例報告に属する(Davis and Markley, 1951;Coste et al.,1952, 1960;Mabon and Lovell, 1956;Hauge, 1958;Dunbar and Ray, 1961).
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