Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
小児のADLを評価するためには小児の発達診断を考慮しなければならない.発達の評価法としては身体運動面を評価する方法と知能や心理を検査する方法に大別できる.前者としてはGesell,Aによるものに代表される.後者にはBinet,Aの知能検査法をもとにした田中ビネー知能検査法,鈴木ビネー知能検査法がある.両者の性格を兼ねた評価として遠城寺式乳幼児分析的発達検査法2)をあげることができる.テストの方法としては乳幼児を直接対象として検査する方法と,母親あるいは保護者への質問によって間接的に検査する方法(Denver Developmental Screening Testなど)がある.
小児のADLに対する評価法として以上の他にもヴァルガス1)によるCP児の発育評価表,津守らによる乳幼児精神発達診断法などがある.
乳幼児のself careを中心としたADLを前述の各評価表で比較すると正常児の中でもばらつきが大きいことに気づく2~7).これは幼児期から学童期にかけての環境的要因や個人の内的要因によるものといえよう.森下8)らは,第一子と第二子以下を比較して第一子の方が早い項目として保健動作や学習動作をあげ,第二子以下の早い項目として食事動作をあげている.また保育歴による差も指摘している.社会環境による差として倉敷市内の四ヵ所の保育園児を比較し,市街地より郊外の園児の方が歩行能力で優れていることを認めたが9),上田7)らは宮古島と足立区の乳幼児の発達を比較して,歩行開始時期に有意差のあることを述べている.
こういったばらつきを少なくするために評価項目を標準化する必要があるが,同時に標準発育の指標も幅広くとらえることも必要である.昭和53年に倉敷市内の保育園児に行った評価をもとに自立という面から小児のADLを評価してみることにする.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.