Japanese
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講座 リハビリテーション医学の評価法(8)
高次神経機能の評価―その2.失行・失認
Evaluation of Apraxia and Agnosia.
鎌倉 矩子
1
Noriko Kamakura
1
1東京都老人総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
キーワード:
Apraxia
,
Agnosia
Keyword:
Apraxia
,
Agnosia
pp.847-853
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104819
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はじめに
失行症や失認症の検査法は,すでに非常に多くのものが発表されている.それらはかなり似かよっていて,そして少じずつ違う.不十分を怖れるあまりそのすべてを採用していたら,検査に要する時間はおびただしいものになってしまうであろう.
失行症や失認症は,神経学でも心理学でも扱う.が,リハビリテーションの場合は,それを患者の生活機能との関連においてとらえるという点に特色があるといえよう.生活設計のための基礎情報を得ること,訓練プログラムの基礎資料を得ること,このいずれかが,リハビリテーションにおいて,行為や認知の高次機能の評価を行うことの目的である.
ひとは空間の中に,物体や人,図,記号などにとり囲まれて存在している.認知の対象は,これらのそれぞれのものおよび自分自身であり,さらにその相互関係である.行為は,自分自身およびこれらの個々のものを動かすことと,さらにその相互関係を変えることである,と考えてよいであろう.
この単純な前提に従って,以下に述べる一次検査の項目は整理した.認知と行為全体の“鳥瞰図”を得ることを目ざした試みの1つである.生活設計に助言を与える目的で行う評価なら,この程度でかなり事足りるであろう.
しかし場合によっては,二次検査まで進まなければならない.失われた高次機能の再建を目ざそうという時には,いっそう詳しい障害分析が必要になるからである.
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