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講座 反射(2)
神経生物学における反射
Reflexes in Neurobiological Terms.
大島 知一
1
Tomokazu Oshima
1
1東京都神経科学総合研究所病態神経生理学研究室
1Department of Neurobiology, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences.
キーワード:
反射
,
中枢プログラム
,
随意運動
Keyword:
反射
,
中枢プログラム
,
随意運動
pp.855-864
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104820
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Ⅰ.神経生物学的視点――序にかえて
神経生物学を名のる研究機関や学術書が国際的にここ10年ほどのあいだに増えた.社会的要因もあるが,基本的な立場からいえば,機械論的視点を主軸に発展してきた狭義の生理学を,生物学的意義を強調する目的律(teleonomy)から見直し,より統合的な科学に発展させたいという願いに基づいている.神経機序をふまえながら反射を動物行動のなかでどのように位置づけるか,これがこの小論の目的であってみれば,神経生物学と題するおこがましさをすこしは大目にみてもらえよう.
ここでは運動に問題をしぼるので,反射といえば伸張反射や屈曲反射に代表される脊髄反射や,中枢神経系の種々のレベルが関係する姿勢反射をまず念頭におき,さらに反射の名で呼ばれる定位反射や条件反射をふくみ,かつ反射との関連で問題となる本能行動,中枢プログラムおよび随意運動も本論の射程にあると理解していただきたい.
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