Japanese
English
研究と報告
重症心身障害児者の移動能力に影響する知的・身体的要素について
Mental and Neurological Factors Influencing upon the Locomotion on the Profoundly and Severely Disabled.
白野 明
1
,
佐鹿 博信
2
,
武村 一郎
3
Akira Hakuno
1
,
Hironobu Sajika
2
,
Ichiro Takemura
3
1川崎中央病院リハビリテーションセンター
2横浜市大リハビリテーション科
3広島大学教育学部
1Rehabilitation Center, Kawasaki Chuo Hospital.
2Department of Rehabilitation, School of Medicine, Yokohama City University.
3Department of Education, Hiroshima University.
キーワード:
重症心身障害児者
,
移動能力
Keyword:
重症心身障害児者
,
移動能力
pp.753-758
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104799
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
重症心身障害児(以下重障児と略す)とは,児童福祉法により「重度の肢体不自由と,重度の精神薄弱とが重複している児童」と規定されているが,その定義は必ずしも明確でなく,概ねIQ35以下,身障福祉法による障害等級で1,2級の肢体不自由のものと認識されている1,2,12,15).しかしながら,これらの原因疾患,機能障害の種類は多岐にわたり,障害像も複雑で,一般的には,必ずしも厳格な医学的評価基準にこだわらず,介護・療育の上で高度の介助を要する一群の障害児(時には者も含めて)を,広く「重障児」の範疇に加えて処遇している場合も少なくない.「動く重障児」という言葉もこのような背景の中から必然的に発生し,認知された形になっているように,患児の実際処遇面での重障児の意味はやや広い範囲でとらえられ,適用されているのが実状といえよう.
このように多様な障害像をもつ重障児の日常動作能力は,知能・運動発達レベル,全身状態,情緒障害などの組合せによってそのレベルが決定されていると考えられるが,特に移動能力が知的・身体的因子にどのように支配されているかは興味深い問題であり,これについてはすでに幾つかの文献的記載が見られ,精神発達レベル,姿勢反射などが大きな影響因子として挙げられている3,4,14,16,18).われわれも今回,重症心身障害児施設に入所中の重障児における移動能力が,知能レベルと神経学的異常にどのように支配されているかについて調査する機会を得たので,その結果について報告するとともに,重症心身障害児施設における機能回復を中心としたリハビリテーションの意義について触れてみたい.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.