Japanese
English
講座 リハビリテーション医のための代謝疾患入門(6)
先天性アミノ酸脂質代謝異常症
Congenital Disorders of Amino Acid and Lipid Metabolism.
桜庭 均
1
,
鈴木 義之
1
Hitoshi Sakuraba
1
,
Yoshiyuki Suzuki
1
1東京大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, The University of Tokyo.
キーワード:
先天性アミノ酸代謝異常症
,
先天性脂質代謝異常症
Keyword:
先天性アミノ酸代謝異常症
,
先天性脂質代謝異常症
pp.696-704
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104787
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
先天性アミノ酸脂質代謝異常症は,遺伝子異常による量的または質的な蛋白合成障害が生体内のアミノ酸あるいは脂質の代謝異常を惹き起こし,多くは病的な臨床症状を示した状態である.その個々の疾患の頻度は必ずしも高くはないが,これらの多くは進行性の全身症状を示し,精神運動障害や痙攣を主訴とするものもあり,リハビリテーションに携わる者が,これらの患者の相談にあずかる機会は決して稀れではない.これらの疾患の中には現在積極的な治療法が確立されておらず,対症療法のみのものもあるが,一方早期発見,早期治療により全く正常人と変わらぬ生活をおくれるものや,適切な治療によりリハビリの効果をより大きくできるものもある.特に原因不明の進行性疾患の場合,先天性代謝異常が隠れている場合もあり,鑑別疾患のひとつとして考えに入れておきたい.アミノ酸・脂質に関連した先天代謝異常は,近年の生化学的検査法の進歩により,酵素欠損部位が明らかにされたものだけでもきわめて多種にわたり,限られた紙面で詳述することは困難である.これに関しては幸い優れた総説1~3)があり,個々の疾患については是非これらを参照されたい.本稿では,主にリハビリに関連した症例を中心に,その診断・治療法を述べたい.症例で記した考え方,診断法は他の同種の疾患についても基本的に同様である.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.