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特集 神経疾患と脂質代謝
先天性アミノ酸代謝異常と脂質
Lipid studies in inherited disorders of amino acid metabolism
河村 成子
1
Nariko KAWAMURA
1
1信州大学医学部順応研究施設生化学部門
1Department of Biochemistry, Institute of Adaptation Medicine, Shinshu University
pp.587-595
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903523
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Ⅰ.先天性アミノ酸代謝異常と脂質
1950年,Alvordら1)はフェニルケトン尿症患者脳において,髄鞘の染色性が悪いのを認めた。1954年には,Menkesら2)が楓糖尿症患者において脳白質の髄鞘形成不全を認めた。その後脂質分析の面からも,これら患者脳では,髄鞘脂質が少ないことが示されてきて,個々の脂質の変動も次第に明らかにされてきた。今日,先天性アミノ酸代謝異常が髄鞘形成不全を来たす際,それに伴う脂質代謝異常はどうであろうかということを解明しようと研究されつつある。
筆者ら3)は,楓糖尿症と長野日赤病院で診断され,生後4か月で死亡した男児の脳の脂質分析を行なったので,本患者脳の脂質を中心にして述べることにしたい。
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