Japanese
English
臨床経験
肺動脈幹への巨大な腫瘍塞栓により突然死をきたした骨肉腫の1剖検例
A Case of Osteosarcoma with Pulmonary Tumor Embolism
木下 嚴太郎
1
,
前田 昌穂
1
,
高岩 均
1
,
松田 泰彦
1
,
植松 邦夫
2
,
西上 隆之
3
Gentaro Kinoshita
1
1兵庫医科大学整形外科学教室
2兵庫医大病院病理
3兵庫医大第二病理
1Hyogo College of Medicine, Department of Orthopedic Surgery
キーワード:
骨肉腫
,
osteosarcoma
,
肺塞栓症
,
pulmonary embolism
,
腫瘍塞栓
,
tumor embolism
,
突然死
,
sudden death
Keyword:
骨肉腫
,
osteosarcoma
,
肺塞栓症
,
pulmonary embolism
,
腫瘍塞栓
,
tumor embolism
,
突然死
,
sudden death
pp.743-748
発行日 1989年6月25日
Published Date 1989/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908130
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抄録:我々は,骨肉腫治療中に肺腫瘍塞栓により突然死をきたした1症例を経験した.症例は,19歳男性,1985年9月発症の左大腿骨近位部骨肉腫(chondroblastic type)である.1986年2月より術前化学療法及び放射線療法を開始した.7月,両側肺転移をきたした.12月,開胸術後より,軽度の咳嗽と労作時呼吸困難を訴えていた.1987年2月25日,突然呼吸苦が増強し頓死した.剖検所見では,肺動脈幹は著明に拡大し,同部から両肺動脈末梢まで腫瘍組織が充満していた.また,右心室壁は肥厚していた.これらの所見から,臨床的には突然死であったが,塞栓はかなり早期より徐々に形成されたものと考えられた.また,病理組織学的には,原発巣では広範な壊死像を認め,同部では類骨がみられた.また,転移巣は軟骨肉腫像を呈し,類骨の産生は認めなかった.このような組織像の特徴が,化学療法の影響に因るものか,本腫瘍が本来有していた性格に因るものかは不明であるが,この点も興味深い所見であると思われる.
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