書評
―武智秀夫(著)―手足の不自由な人はどう歩んできたか―人権思想の変遷と義肢装具の進歩
千野 直一
1
1慶応義塾大学医学部リハビリ科
pp.383
発行日 1982年3月10日
Published Date 1982/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104727
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リハビリテーション医学領域において,「義肢装具学」が一つの大きな分野を占めていることはいうまでもない.しかしながら,これは医学全般の進歩のなかでもっとも遅れて発展してきた分野であり,学問の一分野としてなりたつようになったのは1950年以降であるといっても過言ではあるまい.
このたび武智秀夫博士により「手足の不自由な人はどう歩んできたか」と題して,四肢体幹に障害をもつ患者に対する義肢装具学の歴史的変遷の解説書が出版された.先生はわが国の義肢装具に関する最高権威者の一人として学会,研修会などで講演され,義肢装具の進歩は他の医療分野と異なり,その根底には身体不自由者が社会のなかでどのように受けいれられてきたか,ということを無視しては理解できない,とつねづね強調されてこられた.本書はまさに先生の義肢装具に関する日頃のお考えを総論的にまとめたものといえよう.
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