Japanese
English
特集 シナプス Ⅲ
シナプス局在をめぐる電気生理学
Electrophysiology of Synaptic Location of Nerve Cells
塚原 仲晃
1
Nakaakira Tsukahara
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.865-877
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903089
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1960年,Rall33)は,運動細胞の電気的定数に,樹状突起のケーブル的性質が,大きく関与していることを理論的に示した。それまで,この問題の理論的な取り扱いには,きわめて複雑な手続と,その基礎になる樹状突起の幾何学的な計測値を必要とするため,とりあげられず,神経細胞での情報処理は,シナプスの局在を考慮しないきわめて単純なモデルで説明されていた。すなわち,Ia線維による興奮性シナプス,Ia線維による抑制シナプスはその作用部位が,運動細胞の細胞体にあると考えて,それまでの実験事実と矛盾しない11)。
一方,Brookhartら(1960)6,12)によつてカエルの運動細胞で,後根よりくる興奮性シナプスは樹状突起の末端に,側柱よりのものは細胞体につく事実が明るみに出され,神経細胞での統合作用について新たな観点が提供されるにいたつた。
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