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I.はじめに
神経系の可塑性(plasticity)という言葉は場合によっていろいろの意味で使われているが,これは主に次の二つの場合に分けて考えることができる。その一つは短期的可塑性ともいえるもので,シナプス前線維の条件刺激によってシナプス前終末からの伝達物質放出の効率が変化すると考えられるいわゆる「促通」(frequency facilitation)や「テタヌス後増強」(post tetanic potentiation,PTP)(Eccles,1964)を意味する。この場合,とくに形態学的な変化は伴わず,刺激の条件やシナプスの種類によって異なるが,前者の場合1回の刺激で数十ミリ秒(たとえばPorter,1970;Murakami,et al.,1977),後者の場合数分にわたって(Kandel and Spencer,1968)シナプス伝達の効率の増強が起こる(最近海馬では数週間にもわたって持続するものが報告されている(Blissand Gardner Medwin,1973)),いっぽうこれに対して,形態学的な変化を伴ういわば長期的可塑性ともいえるもので,軸索の再生や側枝の発芽などの現象が知られている。ここでは主に,形態学的変化を伴う可塑性を中心として,その近年の研究の状況や問題点について述べることにする。
Although the neurons in the central nervous system (CNS) have very poor ability to regenerate after section of their axons, it has been found histologically that the remaining intact axons make synaptic contact with the partially dener-vated neurons. Our electrophysiological study in red nucleus neurons (RN) of adult cats revealed that such newly formed synapses are functionally effective.
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