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I.はじめに
脳損傷後に見られる機能修復は,しばしば予想を越える著しさを示す。たとえば,著名な神経解剖学者Brodalが自らの脳損傷後の回復過程を克明に記した論文などはその例であろう。また,最近,英国の大学生でIQ 128,数学で賞をとった青年の大脳皮質は水頭症でほとんどなかったことが発見され,全く正常人と変わらない社会生活を営んでいたので,「貴方の大脳は本当に必要か?」という衝撃的な標題で報じられ話題を呼んでいる。このような現象面での記述に対応した機構について,シナプスにおける可塑性が少なくともその一部を担っていると考えてほほ間違いないと思われる実験事実が報告されてきている。
大脳性機能代償の機構を調べる方法の一つは,大脳皮質ニューロンの標的の一つである脳幹部の大型細胞に材料を求め,ここでの可塑性を検討することが考えられる。とくに,大脳錐体細胞から,単シナプス性投射を受ける大型脳幹細胞を選ぶことによって,単純化された系での可塑性を扱うことができる。
Abstract
There is now a growing list of investigations that have confirmed the existence of sprouting in the central nervous system. In order to establish the functional effectiveness and the properties of synaptic transmission of newly-formed synapses it is neccessary to record the synaptic potentials mediated by newly formed synapses. The red nucleus is a good system for examing this prob-lem. In this article, physiological and morpho-logical study of sprouting in the red nucleus is reviewed.
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