Japanese
English
研究と報告
リウマチ膝拘縮に対する硬膜外麻酔下の運動療法の試み
Rehabilitation Excercise of Contracted Knee Joint under Epidural Anesthesia in Patients with Rheumatoid Arthritis.
上尾 豊二
1
,
山室 隆夫
2
,
奥村 秀雄
2
,
浦部 伸方
3
,
新宮 興
3
,
大島 英治
3
,
山崎 和夫
3
Toyoji Ueo
1
,
Takao Yamamuro
2
,
Hideo Okumura
2
,
Nobukata Urabe
3
,
Kou Singu
3
,
Eiji Oshima
3
,
Kazuo Yamazaki
3
1福井赤十字病院整形外科
2京都大学医学部整形外科
3京都大学医学部麻酔科
1Department of Orthopedic Surgery, Fukui Red Cross Hospital.
2Department of Orthopedic Surgery Faculty of Medicine, Kyoto University.
3Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, Kyoto University.
キーワード:
慢性関節リウマチ
,
膝拘縮
,
硬膜外麻酔
Keyword:
慢性関節リウマチ
,
膝拘縮
,
硬膜外麻酔
pp.639-643
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104372
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はじめに
慢性関節リウマチ(RA)においては,はじめは関節痛のために関節運動は自然に制限され,病変の進展と共に関節の器質的変化が加わって,しだいに関節拘縮を生じてくる.膝関節に着目すると,この関節は荷重関節であり,運動量も多いためにRAの好発罹患関節の1つであり,これが機能障害を生じた場合の日常生活に及ぼす影響は大きいものがある.理学的療法にて機能回復を計る場合,疼痛のために患者は十分な機能訓練が出来ず,変形に対しても変形徒手矯正を十分に行うことが出来ない.患者に過度な苦痛を与えることなく,機能回復を計るには,治療中に生ずる疼痛を軽減することが,好ましいばかりか治療目的を達成する上でも必要である.
延永,山内ら1)は極低温運動療法によるRA膝の機能改善を報告し,めざましい日常生活動作や関節可動域の改善を得たとしている.低温下の理学療法の有効な理由として,局所の冷凍麻酔効果により運動時の関節痛をやわらげ,ついで2次的な血管拡張に伴う温度上昇により温熱効果を生ずることが挙げられている.我々は,日常の手術に利用されており,すでに確立した手技である硬膜外麻酔を利用して関節を痛覚鈍麻の状態におき,かつ麻酔領域の血管拡張に伴う温度上昇を温熱療法として利用しつつ,リウマチ膝関節の運動療法を試みてその有効性と適応について検討した.
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