巻頭言
受難の時代
小柳 恭治
1
1国立特殊教育総合研究所
pp.335
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104312
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ユニ鉛筆やブルー・トレインなどのデザインを手がけ,また生活用具の収集家,伝統工芸の研究者としても著名な工業デザイナーの秋岡芳夫氏が,去る1月19日付の読売新聞(夕刊)に,「'80年代は触覚の時代」と題したおもしろい随筆を寄せておられる.
これまで主として視覚・聴覚情報を流していたテレビや新聞が触覚情報を扱いかねて困惑する年代になるであろう.そしてまた,感触の良し悪しや本来の意味での“手ごろさ”が商品価値を左右し,したがってデザイナーは従来からの視覚造形,つまり色・柄・形の工夫ばかりにうつつをぬかしてはおられなくなる.大きさや重さ,バランス,材感などの触覚デザインを迫られる時代がやってくる,というのである.
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