外科医局の午後・32
病院長受難時代
岡崎 誠
1
1市立伊丹病院外科
pp.824
発行日 2007年6月20日
Published Date 2007/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101774
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最近の病院長という職は,傍で見ているといかにも大変である.昔は「病院長」と言えば,病院内で一番偉くて,大きな部屋におり,皆がたいそう気を使ってくれた.ある意味,勤務医の最終的な目標のような職であった.ところが,最近では「病院長」は責められ役である.
今時,病院の経営はどこも苦しく,黒字などはとても望めない.また,臨床研修制度のあおりを食って,今までなら医師が辞めてもすぐ大学の医局から補充されていたが,その肝心の大学が医師不足のため,辞めれば空きのままである.医師が不足してくればたちまち病院収入に影響するのは自明の理である.そのため病院長は,あちこちの大学の医局に医師の応援を依頼しに行かねばならない.ところが大学の医局にも医師は不足気味であるから,そう簡単に派遣してくれない.最近では医療ミスあるいは医療事故に対する批判が強く,院長はなにかあればすぐ皆の前で謝らねばならない.自治体病院であれば議会に出向いて業績下降の理由を市長や議員の前で説明しなければならないし,病院に帰れば今度は組合との交渉が待ち構えている.まさに「病院長受難時代」である.
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