巻頭言
脳性まひの早期治療をめぐって
七戸 幸夫
1,2,3
1北海道立旭川整肢学院
2札幌医大
3旭川医大
pp.871
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104077
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昭和52年9月,西ドイツよりボイタ先生が来日,京都の聖ヨゼフ整肢園で講習会があり,貴重な勉強の機会をえた.53年の9月には英国からボパース先生ご夫妻が大阪に来られ,そのセミナーにも参加することができた.脳性まひの早期診断・治療に関する世界的なお二人の先生方から,直接お話を聞けることは,まことに幸いなことであった.また54年の3月には,ボイタ先生が再度おいでになるとのことで,わが国におけるこの分野の進展は,より一層期待できる.このように数次にわたり先生方の来日をお世話くださっている聖ヨゼフ整肢園の深瀬園長,聖母整肢園の梶浦園長等に謝意を表したい.
ボイタのいわゆる7つの反応は明快でよく整理されており,脳性まひ等の早期診断にあたってきわめて有力な診断法の一つであることは,ボバースも正しく評価している.ただ乳幼児を初診するに当って,ボバースとポイタの大きな相違点は硬・軟両極とも言えるアプローチである.ボパースが母親の子どもを抱く様子,着物の脱がせかた等を“やさしく,静かに”まず見なさい,と説くのに対し,ボイタはこう言う.「医師が子どものことに関して,両親のまちがった供述に影響されないようにするため,発達診断を行なったあとで,はじめて病歴について聞くべきである」と,したがってまず親は診察室の外にいて,あらかじめ裸にされた子どもを第三者が連れてくることを「意図的に,規則的に」行っている.
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