Japanese
English
研究と報告
片麻痺患者のプラスチック製下肢装具
Plastic Orthosis of the Hemiplegic Lower Extremity
高山 利和
1
,
三好 正堂
1
,
三樹 正利
1
,
有薗 秀昭
1
Toshikazu Takayama
1
,
Seido Miyoshi
1
,
Masatoshi Miki
1
,
Hideaki Arizono
1
1九州厚生年金病院リハビリテーション科
1Rehabilitation Center, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital.
キーワード:
片麻痺
,
装具
Keyword:
片麻痺
,
装具
pp.600-604
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103830
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はじめに
片麻痺患者の装具は,従来,軽合金二本支柱つきの短または長下肢装具が主として用いられてきたが,近年プラスチック製装具が使われるようになってきた.これは外観もよく,軽く,装着しやすく,また耐久性もあり優れた装具であるが,反面適切な装具の選択と処方は必ずしも容易ではない.
片麻痺は回復過程において,筋トーヌス,異常共同運動,筋力などの面で著しく変遷する.したがって,ある時点で適切な装具も,短期間使用後に不適当になり,再処方を余儀なくすることもあるし,不要になったりすることもあるであろう.装具は一般にかなり高価であるので,徒らに装具処方を乱発して患者に無駄な負担をかけないよう注意すべきである.また余り早期に装具を処方すると,かえって機能の回復を遅らせる可能性も考えられないことではない.さらに外国で開発された装具を生活様式の異なるわが国に輸入した場合の問題点も検討する必要がある.このように片麻痺の下肢装具を処方する場合さまざまなことを考慮しなければならない.
過去2年間,われわれは専らプラスチック製装具を使用してきたが,試行錯誤をくり返して一定の結論を得た.すなわち片麻痺患者の下肢装具には原則的に短下肢装具を処方すべきであり,しかもそれは半ラセン型装具と靴ベラ型装具の2種類で大多数の患者に満足すべき結果がえられること,長下肢装具は少数例にしか必要でないこと,また稀にはY-ストラップのみ,または「足ずり」がよい症例もあるなどである.今回われわれの施設で装具を給付した患者の追跡調査を行い,以上の結論をえたので調査結果とともに,われわれの片麻痺患者の下肢装具についての考えを報告する.
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