書評
安井信朗著「パパは生きている―植物人間から奇跡的に甦ったある科学者の手記」
土屋 弘吉
1
1横浜市大整形外科
pp.581
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104024
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一高,東大を卒業した大手電気メーカーの将来を嘱望された中堅幹部が,ある日突然に昏睡状態となり,覚醒したときは四肢は麻痺し,言語は不能となり,わずかに不可解な言葉を発し,時に眼から涙を流すだけのほとんど植物人間に等しい状態で横たわっていた.
この患者が大阪日赤から,新幹線で運ばれて関東労災病院に移され,そこでリハの特訓を受けはじめ,BFOを用い手に鉛筆を結えて字を書こうとするが人の読める字にはならない.そのようなときに大野部長から電動タイプを使ってみてはという助言があって,英文の電動タイプを借りて練習をはじめた.そのときに打った最初の文字は「先生,ありがとう」という主治医への感謝の言葉であった.
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